Mr.Children歌詞解釈記

ミスチルファン歴30年。

「ミスチルの歌詞はマイナスからプラスに行く」という通説は本当か?

桜井さんの風邪によるライブ中止から何の公式発表もなく、心配な気持ちと若干気分も落ち込み気味かとは思います。

そんな中、「again」をよく聞いていますが、「よし今日も頑張るぞ!」みたいな元気が出るわけじゃない。

もっと小さい。

「……まぁ、もう一日くらい、行くか」くらいの、ささやかな回復をもらえるんですよね。

で、考えてるうちに、昔からファンの間でよく言われてたことを思い出しました。

「ミスチルの歌詞はマイナスからプラスに行く」

これ、本当なんだろうか。

気になって、確かめたくなって——いつもの悪い癖で——264曲、全部の感情の流れを追ってみました。

先に言っておくと、これは厳密な集計じゃないです。

曲が「どんな気分で始まって、どんな気分で終わるか」を、聴いた体感でざっくり分けただけ。

完全に僕の主観です。

でも、並べてみたら、思ってたのと違う景色が見えました。

まず、代表的な10曲をグラフにしてみた

まず代表曲を10曲選んで、感情の流れを線にしてみました。

Aメロ、Bメロ、サビ、ラスト——曲が進むにつれて、感情がどう動くか。

マイナス→プラス 代表10曲の感情の流れ

どの曲も、見事に同じ動きをしています。

Aメロでぐっと沈んで、Bメロでもう一段沈むか低空飛行。

そしてサビで一気に水面を超えて、ラストで上がりきる。

「Again」だけは特殊で、サビでいったん少し上がってから、Cメロでまた沈んで、大サビで爆発する。

重ね合わせたら、ゾッとした

10曲の線を、1枚に重ねてみたんです。

10曲の感情曲線を重ね合わせると…
縦軸:感情の高低(上=プラス、下=マイナス)/横軸:曲の構成

これ、見てください。

色も曲もバラバラなのに、ほぼ全部が同じ形を描いてる。

10曲が、申し合わせたみたいに、同じ軌道を通ってる。

いや、これちょっと怖くないですか。

30年かけて別々に作られた曲が、感情の設計図だけ見たら、ほぼ同一なんですよ。

これがミスチルの「型」なんだと思います。

通説は、半分だけ当たっていた

ちなみに264曲を全部ざっくり分けると、こうなりました。

  • マイナス→プラス:約60%
  • マイナス→マイナス:約27%
  • プラス→プラス:約13%
  • プラス→マイナス:ほぼゼロ

確かに、マイナス→プラスは6割。

「マイナスからプラス」という通説は、当たってます。

ミスチルって、"最初から幸せ"な曲が意外なくらい少ない。

大半が、自己嫌悪、孤独、焦り、虚無、後悔——そういう沈んだ感情から始まる。

ここまでは、通説どおり。

でも、本当に僕がゾッとしたのは、別のところでした。

一個だけ、ゼロの欄があった

表をもう一回見てください。

プラス→マイナス:ほぼゼロ。

264曲もあって、「幸せに始まって、最後に絶望で終わる曲」が、ほぼ一曲もない。

桜井さんは「一回持ち上げてから落とす」ことだけは、絶対にやらない。

聴き手に希望を見せてから、それを奪うことだけは、しない。

でも、「沈んだまま終わる曲」は、ちゃんとある

ここ、誤解されたくないので、はっきり書きます。

「ミスチルは最後に必ず救われる」——これは嘘です。27%、マイナスからマイナスへ、沈んだまま終わる曲がある。

「深海」。

最後は

連れてってくれないか
連れ戻してくれないか
僕を 僕も

出口のない問いのまま、沈んでいく。救われない。

「Surrender」もそう。

二人で過ごした日々は
路上のチリのよう
流れて消えてThe Endさ

ここには、希望も祈りもない。

つまり桜井さんは、暗いところに人を置き去りにすることは、ある。

「救われない夜もある」を、ちゃんと書く。

おわりに

だから、なんですよね。

「Again」を聞きたくなる理由。あの曲は、「今日はいい日になる」なんて嘘をつかない。

「すり減らすだけ」「虚しくなるだけ」、しんどい朝の本音を、ちゃんと先に言ってくれる。

その上で、最後に小さく祈って、仕舞ったお宝が光ってるのを、そっと見せてくれる。

今のミスチルの状況やファンの心理、人生沈む日は必ずある。

これがマイナスからプラスへ、ミスチルの歌詞の傾向そのものとして聴こえてきました。