
前回の20選を公開した後、猛省しました。
20曲でミスチルを語ろうなんて、土台無理な話だったんです。
泣く泣く削ったリストたちが、夢枕に立って「俺たちも語ってくれよ」と叫んでるんで。
というわけで今回は、表ベストには入らなかった「裏ベスト」を。
シングル曲よりアルバム曲多め。あと「幻の歌詞」も入ってます。
Ⅰ. 絶望の中で、小さな光を見つける力
1.もっと
暗い目をしてたって
この星のリズムは
君に笑顔を降らすから
きっと きっと きっと
無理に笑わなくていい。
時間に身を任せれば、いつか勝手に笑顔は降ってくる。
「頑張れ」より優しい全肯定。
2.空風の帰り道
昨夜見たテレビの中
病の子供が泣いていた
だからじゃないが
こうしていられること
感謝をしなくちゃな
「だからじゃないが」の一言が全部。
不幸な誰かと比べて安心するんじゃなく、ただ今ここにある命に感謝する。
その誠実さが刺さる。
3.World's End
飲み込んで吐き出すだけの
単純作業繰り返す
自動販売機みたいに
この街にボーっと突っ立って
そこにあることで誰かが
特別喜ぶでもない
でも僕が放つ明かりで
君の足下を照らしてみせるよ
きっと きっと
自分を自販機に例える自虐から、「でも」で反転する。
この展開が鳥肌もの。
4.エソラ
雨に降られたら 乾いてた街が
滲んできれいな光を放つ
心さえ乾いてなければ
どんな景色も宝石に変わる
雨は不運じゃない。
心の潤いさえあれば、景色が変わる。
Ⅱ. 誰も言葉にできなかった感情を、言葉にする
5.風 〜The wind knows how I feel〜
風は知っているんだ
本当のことを
短い。でもこれ以上の真実はない。
人は嘘をつくけど、自然は忖度してくれない。
6.I'll be
笑いたがる人にはキスを
自分を笑う奴に、怒るんじゃなくキスを贈れ。
同じ土俵で戦わない余裕。
最もエレガントな返し方だと思う。
7.ハレルヤ(幻の歌詞)
子供らの顔を
狂おしく撫でる手は
人を殴る手でもあり
CDには入っていない、ドキュメンタリーで一瞬歌われただけの幻のフレーズ。
愛する手と暴力を振るう手は同じ手。
人間の二面性をこれほど鋭く突いた言葉は他にない。
8.あんまり覚えてないや
キャッチボールをしたり
海で泳いだり
アルバムにだって
貼り付けてあるんだもの
ちゃんと覚えてるんだ
ちゃんと覚えてるんだ
ちゃんと覚えてるんだ こんなに
特別なイベントじゃない。
キャッチボール、海で泳いだ夏。
それが一番鮮明に残ってる。
Ⅲ. 見過ごす日常を、詩に変える魔法
信号機は誰もいない道にも
合図をくれる
愛想などない でも律儀で
誰かに似てる気がした
誰もいない夜道で点滅する信号機。
不器用だけど絶対にサボらない。
ファンの間では田原さんのことでは、と囁かれる一節。
10.Documentary film
枯れた花びらが
テーブルを汚して
あらゆるものに
「終わり」があることを
リアルに切り取って
しまうけれど
そこに紛れもない
命が宿ってるから
枯れることさえ肯定する。
命があった証明だから。
11.Party is over
洗濯機の中でもつれ合う
ロンTとデニムは
あの夏の2人みたい
生活感の中に、終わった恋の痛みが溶け込んでる。
この比喩に最初に出会った時、息が止まった。
12.光の射す方へ
母親がいつか
愚痴るように言った
「夏休みのある小学校時代に帰りたい」
理想の母じゃない、愚痴る母。
大人になることは、夏休みがなくなることだと気づく一節。
Ⅳ. 綺麗事じゃない、人生のリアルな数式
13.Door
このドアはひょっとして
何の喩えでも象徴でも
メッセージでも無くて
開いたって昨日と同じ
生活が待っていたりして
扉を開けても劇的な変化なんかない。
昨日と同じ今日が続くだけ。
その変わらなさを受け入れることが、大人のリアル。
14.羊、吠える
いいこと「49」
嫌なこと「51」の比率
50対50じゃない。
ほんの少しだけ嫌なことが多い。
でもそれでいい。
その「ちょっとしたマイナス」を受け入れて生きるのが日常というもの。
15.忙しい僕ら
高く舞い上がったボールも
必ず地上に落ちるように
それが良いことであっても
その逆でも
物理法則は嘘をつかない。
良いことも悪いことも、永遠には続かない。
ボールの軌道だけで人生を説明しきる。
16.進化論
変わらないことがあるとすれば
皆 変わってくってことじゃないかな?
唯一の真実は「すべては変わっていく」ということだけ。
このパラドックスに何度救われたか分からない。
Ⅴ. 終わりなき旅を、軽やかに歩くために
17.ロードムービー
街灯が2秒後の未来を照らし
オートバイが走る
等間隔で置かれた
闇を越える快楽に
また少しスピードを上げて
もう1つ次の未来へ
10年後なんて見なくていい。
街灯が照らす2秒先だけを見て、闇を越えていけばいい。
この「2秒後」という表現が神懸かってる。
18.遠くへと
カーブを曲がる度に
迷いをひとつ落としてく
移動することはセラピーだ。
逃げるんじゃなく、自分を始め直すための旅。
19.掌
ステッカーにして
貼られた本物の印
だけど そう主張している方がニセモノに見える
本物アピールをする奴ほど怪しい。
本当に本物なら、黙っていても伝わるから。
20.Simple
10年先も20年先も
君と生きれたらいいな
この「君」は恋人か、メンバーか、それともファンか.......。
いや、その全部だと思う。
さいごに
前回の20選が人生の教科書なら、今回の番外編で見えてきたのは日常への愛だと思う。
自動販売機、信号機、洗濯機。
桜井和寿という人は、誰も気にとめない景色の中に、必ず光を見つけ出す。
260曲の中には、まだまだ語り尽くせない物語が眠っています。
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