
Yahooニュースで知った、伝説の復活
たまたまネットニュースを見ていたら、飛び込んできた見出し。
「桑田佳祐主催の武道館フォークフェス 秘密ゲストが超豪華だった」
あいみょん、竹内まりや、吉井和哉...そして、ミスチルの桜井和寿さんが登場し、19年ぶりに「奇跡の地球」を披露したという。
19年ぶり!?
正直、この曲のことをすっかり忘れていました。
でも、この組み合わせを見た瞬間、なぜか胸がざわついた。
「あの曲、もう一度ちゃんと聴かないと」って。
改めて歌詞を読んで、驚いた
ニュースを見て、久しぶりに「奇跡の地球」の歌詞をじっくり読み直してみました。
そしたら、めちゃくちゃ深くて驚いた。
いや、当時も聴いてはいたんです。
でも、ここまで絶望的な曲だとは気づいてなかった。
というか、当時学生だった自分は、カラオケでこの曲を楽しそうに歌ってたんですよね。
「奇跡の地球」ってタイトルだし、桑田さんと桜井さんのコラボだし、なんかカッコいい曲だなって。
歌詞の意味なんて深く考えずに、ただメロディーに乗せて歌ってた。
でも今、改めて聴くと、この曲が歌っていた絶望が、痛いほど分かる。
「奇跡の地球」というタイトルの皮肉
まず、タイトルが秀逸すぎる。
「奇跡の地球」
これって、表面的には
- 地球は生命が生まれた奇跡の星
- 美しい、守るべき星
- 希望、愛、未来
というポジティブなイメージですよね。
でも、歌詞の中身は真逆
この曲が描いているのは
- 変わりゆく街は「明日なき無情の世界」
- 「壊れゆく」という現実
- 「砂漠の旅」という絶望
- 「涙のBlues」「嘆きのNews」
どこが「奇跡」やねん!って突っ込みたくなるくらい、暗い。
この落差が、メッセージなんだと思う
つまり、桑田さんと桜井さんは言ってるんです。
「奇跡の地球って呼ばれてるけど、実際は壊れかけてるじゃん」という痛烈な皮肉を。
綺麗事を歌わない。希望を歌わない。
むしろ、「奇跡」という言葉と現実のギャップを、そのまま見せつけている。
「夢や希望にすがる時代は過ぎた」の重さ
冒頭から、衝撃的な宣言があります。
夢や希望にすがる時代(とき)は過ぎた
これ、1995年の時点で歌われた言葉です。
当時はまだ、「夢を持とう」「希望を信じよう」っていうメッセージが当たり前だった時代。
でも、桑田さんと桜井さんは、その綺麗事に「もう終わりだ」って宣言してる。
今の時代から見ると、この警告が的中してるのが怖いくらいです。
「I'm Listening to the radio, All by myself」の孤独
曲の中で繰り返される英語のフレーズ。
I'm Listening to the radio, All by myself
ラジオを一人で聴いている——この孤独な情景が、この曲の核心だと思います。
変わりゆく街を見ながら、一人でラジオを聴いている。
誰とも繋がれない。誰にも届かない。
Surrounded by the stereo, No sound is felt
音に囲まれているのに、何も感じない。
これは、現代人の孤独そのものじゃないでしょうか。
SNSで繋がってるはずなのに、誰とも本当には繋がってない。
情報に囲まれてるのに、心に響くものがない。
「黄昏が空に映した異常な未来」という絶望
歌詞の中に、こんなフレーズがあります。
黄昏が空間(そら)に映した異常な未来
これ、ゾッとしませんか?
まるで予言してたみたい。
未来はもう「異常」だと分かってる。希望じゃない、異常。
黄昏——つまり終わりの時間が、空に映し出してるんです。
もう手遅れだって、最初から分かってた。
でも、それでも僕たちは生きてる。この異常な未来に向かって進んでる。
「闇を奏でるロックンロールバンド」という自己言及
そしてもう一つ、印象的なフレーズ。
闇を奏でるロックンロールバンド
闇を奏でる… なんかすごい表現ですね。
これ、桑田さんと桜井さん自身のことなのかな?
ロックバンドとして、希望じゃなく闇を歌っている。
明るい未来じゃなく、絶望を音楽にしている。
この一言からロックを感じます。
なぜ19年ぶりに復活したのか
1995年のリリースから30年。
2006年には「ap bank fes '06」や桑田さん主宰の「THE 夢人島 Fes.」でこの曲が演奏されました。
でもその後、また19年が経った。
この19年で、世界はどう変わったでしょう。
- リーマンショック
- 東日本大震災
- コロナパンデミック
- 戦争、気候変動、分断
「奇跡の地球」が歌った絶望は、より深刻になってる。
私生活も、物価高、少子化、給料減…色々変わりましたよね。
だからこそ、30年前の曲が今の時代にも響く…さすが桑田さん、桜井さんで。普遍的で、いつの時代に聴いても色褪せない名曲ですね。
でも正直生で聴きたかった!会場にいた人たちがホント羨ましいですね。
それでは。