
正直、この曲を初めて聴いた時、ちょっと怖かった。
ケモノミチ って、もっと「人生の応援歌」みたいな曲かと思ってたんですよ。
でも全然違った。
なんかこう……“息を潜めて生きてる人間”の歌だった。
風上に立つな
風上に立つなよ 獣達にバレるだろ
この一行、かなりヤバい。
動物って、自分の匂いで居場所がバレるから、風向きを気にして動くらしいんですけど、これを現代人に重ねてる。
SNSで炎上する人を見て、「気をつけよう」と思う。
職場で意見を言いたいけど、「角が立つかも」と飲み込む。
なんか最近、SNS見てるとずっとこれ感じるんですよね。
「本音」より、「正しいこと言ってる風」の方が安全。
だからみんな、少しずつ“匂い”を消してる。
マヌケ
バランス取るだけで精一杯 消耗してく
脳味噌振り回され ほら ふわふわとマヌケが通る
この「マヌケ」、最初は“世の中のマヌケな奴ら”の話かと思ったんですよ。
でも違った。
たぶんこれ、自分自身なんですよね。
スマホ握って、
怒るほどでもないニュースに反応して、
疲れて、
また動画見て、
気づいたら一日終わってる。
……いや、普通に自分だわってなった。
桜井さんって、時々こういう“逃げ場のない言葉”を書いてくる。
しかも説教じゃないんです。
「お前ダメだぞ」じゃなくて、
「まぁ、俺もなんだけどさ」
みたいな距離感で言ってくる。
だから刺さる。
「仕返し」だけが希望
眠れず独り目論む 『仕返し』だけが希望
この歌詞、かなり好きです。
でも“復讐賛歌”ではないと思う。
誰かをボコボコにするとか、見返してやるとか、そういう単純な話じゃない。
むしろ、
「こんなもんに潰されてたまるか」
っていう、生存本能に近い。
自分を押さえつけてきた空気とか、
「普通こうだろ」って圧とか、
そういうものに対して、
“ちゃんと自分の人生を生きる”
それ自体が仕返しなんだと思う。
Mr.Children自身が“ケモノミチ”を歩いてきた
そもそもMr.Childrenって、ずっと順風満帆だったわけじゃない。
90年代の熱狂もあったし、バッシングもあった。
でも、そのたびに妙に“迎合し切らなかった”。
売れ線だけをなぞる感じでもなく、
かといって完全に尖り散らかすわけでもない。
あのバランス感覚、かなり異常だと思う。
だから50代になって、
ケモノミチ みたいな曲を書くの、なんか納得してしまった。
綺麗な一本道じゃなくて、
ちゃんと獣道を歩いてきた人の歌なんですよね。