
正直に言います。
アニメの主題歌として書かれたこの曲に、40代の自分がぼろぼろ泣きました。
青春の話のはずなのに。
なんで?と思って、歌詞をじっくり追ってみました。
思ってた以上に 自分探しに
戸惑って 患って 足元ばっか見てた
「自分探し」って、20代の言葉だと思っていました。
でも実際は違う。
40代になっても、50代になっても、人は自分が分からなくて戸惑っている。
むしろ年を重ねるほど、誰にも言えなくなっていく。
「まだそんなこと言ってるの?」という目が怖くて。
桜井さんはこれをリリース時54歳で歌っています。
その事実だけで、少し楽になる人がいると思います。
絡まった靴紐は 解くのを
諦めて 忘れて遊んでたら
知らぬ間に解けてた
1998年の『終わりなき旅』は「閉ざされたドアの向こうへ進め」でした。
26年後の桜井さんは「諦めたら解けた」と歌っている。
これは後退じゃないと思います。
力ずくで解決しようとしていたものを、手放すことで動き出すことがある——その経験を積んだ人間にしか書けない歌詞です。
そしてこの曲には、もう一つ仕掛けがあります。
1番のポケットは「去年の上着」。2番は「昨日のシャツ」。
時間軸が縮んでいく。
若い頃は「1年でこんなに変わった」という実感で生きていた。
でも今は、昨日より少しだけ軽くなった、その程度の変化で十分になっている。
劇的じゃなくていい。ただ、今日をリセットできればいい。
その感覚が、この時間軸の変化に静かに込められています。
好きな色を手に取って
描いていいんだ って
絵が苦手な子供には
そう言って画用紙を渡そう
この「絵が苦手な子ども」、自分の中にいませんか。
会社での立場、家族への責任、世間体——大人になるにつれて、我慢が染み付いていく。
気づけば、自分が本当に何をしたいかさえ分からなくなっている。
この歌はそこに向かって、静かに言っている。
好きな色を手に取っていいんだよ、と。下手でも、不器用でも、と。
今日からまた新しいあなたが始まる
アニメの主題歌が、なぜか40代の胸に刺さった。
これは偶然じゃないと思います。
54歳の桜井さんと、40代の聴き手の時間が、どこかで重なった。
そういうことだと思っています。