Mr.Children歌詞解釈記

ミスチルファン歴30年。

【敵だと思ってたものの正体】Mr.Children「Starting Over」歌詞解釈 ─自分の中のモンスターとどう生きるか

 

自分の中に、嫌いな部分がある。

消したい。
でも消えない。

向き合いたい。
でも、できれば見たくない。

……たぶん、誰でも一つや二つありますよね。

嫉妬とか。
承認欲求とか。
失敗が怖くて動けなくなる感じとか。

Starting Overって、そういう“自分の中の厄介なもの”の歌だと思っています。

なぜ「散弾銃」なのか

肥大したモンスターの頭を
隠し持った散弾銃で仕留める

いきなり物騒なんですよね、この曲。

初めて聴いた時から、ずっと引っかかってました。

なぜライフルじゃなくて、散弾銃なんだろうって。

たぶん、自分の中の敵って、輪郭がはっきりしてないからなんです。

なんとなく苦しい。
なんとなく重い。
でも正体はよく分からない。

「これが原因です」ってピンポイントで狙えない。

だから、広い範囲ごと撃つしかない。

……いや、分かるんですよ。

自己嫌悪って、だいたいそんな感じなので。

あと地味に好きなのが、

「隠し持った」

なんですよね。

この戦い、誰にも見せられない。

全部、自分の頭の中で起きてる。

表面上は普通に仕事して、普通に笑ってるのに、内側ではずっと何かと揉めてる。

大人になると、そういう戦場が増える気がします。

「今度こそ」の重さ

今度こそ
躊躇などせずに
その引き金を引きたい

ここ、「今度こそ」が重い。

この一言だけで、もう背景が見えるんですよね。

たぶん、何回も向き合おうとした。

変わろうとした。

でも途中でやめた。

見ないふりした。

だから、

「今度こそ」

なんです。

しかも言い切らないんですよ。

「引く」じゃない。

「引きたい」

まだ少し揺れてる。

決意してるはずなのに、自信がない。

この頼りなさ、やけにリアルなんですよね。

人間の決意って、だいたいこんな感じなので。

モンスターの正体

あいつの正体は虚栄心?
失敗を恐れる恐怖心?
膨れ上がった自尊心?

ここ、「?」が並ぶのが好きです。

答えを断定しない。

虚栄心かもしれない。

承認欲求かもしれない。

あるいは全部かもしれない。

他人と比べてしまうこと。

認められたくて仕方ないこと。

でも、認められたら認められたで、今度はそれを失うのが怖くなること。

……いやぁ、人間、めんどくさいですよね。

でもたぶん、この曲のモンスターって、そういう感情が積もり積もったものなんだと思います。

追い詰めた先に見えたもの

で、この曲、本当に凄いのはここからです。

追い詰めたモンスターの目の奥に
孤独と純粋さを見つける
捨てられた子猫みたいに
身体を丸め怯えてる

ここ、初めてちゃんと歌詞読んだ時、少しゾッとしました。

倒すべき敵だと思っていたものが、

実は怯えていた。

虚栄心も。
恐怖心も。
承認欲求も。

もとを辿れば、傷つきたくない自分が作った防衛反応だった。

バケモノだと思ってた相手が、実はずっと震えてた。

しかも、

「捨てられた子猫」

ですよ。

急に責めづらくなる。

自分の嫌いな部分なのに、少し可哀想に見えてしまう。

ここ、ものすごくMr.Childrenっぽいなと思います。

敵を完全悪にしない。

人間の弱さの奥に、ちゃんと孤独を見る。

撃ち殺すんじゃなくて、飼い慣らす

あぁ
このままロープで繋いで
飼い慣らしてくことが
出来たなら

ここが、この曲の結論なんでしょうね。

消せない。

だったら、一緒に生きるしかない。

でも面白いのは、

「倒す」じゃなくて「飼い慣らす」

なんですよ。

弱さも。
醜さも。
承認欲求も。

完全に消えない。

だったら、暴れすぎない距離感を覚えるしかない。

……なんかこれ、人生そのものっぽいですよね。

「Starting Over」ということ

最初は、このタイトルを

「何度でも始め直せる」

みたいな前向きソングだと思っていました。

でも、読み込むほど違う気がしてきます。

始め直しても、また出てくるんですよ。

同じ弱さが。

同じ恐怖が。

同じモンスターが。

だから、この曲の“Starting Over”って、

まっさらな再出発じゃない。

同じ自分を連れて、もう一回やること。

たぶん、そういう話なんだと思います。

かっこいい話じゃない。

でも、それくらいが妙に本物っぽい。

自分の中のモンスターと生きていくって、たぶんそういうことなんでしょうね。