
今回は名曲『しるし』について考察です。
「恋人同士の終わりでも、始まりでも両方解釈できる曲」と桜井さんが語った代表作。
リリース当時は「シンプルな恋愛ソング」だと思っていました。
実は愛のややこしさと美しさを同時に歌った、特に深い作品です。
この曲の魅力はどこにあるのか、一緒に見ていきましょう。
発売日:2006年11月15日
収録アルバム:『HOME』(2007年3月14日発売)
タイアップ
- 日本テレビ系ドラマ「14才の母」主題歌
セールス記録
- 初週売上:35.0万枚
- 累計売上:74.0万枚
- 10週連続トップ10入り
- ストリーミング:5000万回突破(ゴールド認定)
特徴
- 演奏時間:7分12秒(発売当時シングル最長楽曲)
- 25作連続初登場1位を獲得(歴代2位の記録)
- 7週ぶりに1位返り咲き(史上4組目の快挙)
実はモンちゃんへの想いから生まれた曲
この楽曲の真の背景を知ると驚きます。
桜井さんは7年間飼い続けたリスザルの「モンちゃン」を想って「おんおん泣きながら書いた」と明かしています。
でも「死んだ者への言葉に聞こえすぎるところは、誰もが共感し得る恋愛の歌に聞こえるよう書いていた」とも語っている。
つまり、言葉の通じない相手への愛から始まって、誰もが共感できる愛の歌になった作品なんですね。
歌詞解釈
最初からこうなることが 決まってたみたいに
違うテンポで刻む鼓動を 互いが聞いてる
冒頭の「最初からこうなることが決まってたみたいに」。
この「こうなること」って、何を指してるんでしょう?
桜井さんは、あえて具体的に書いていないんです。
出会うこと?別れること?すれ違うこと?愛し合うこと?
何も言っていない。
だからこそ、聴く人それぞれが自分の物語を重ねられる。
別れた人は「別れの予感」として聴くし、出会ったばかりの人は「運命の出会い」として聴く。
同じ人でも、人生の段階によって意味が変わっていく。
そして
「違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる」
この部分も実は曖昧で。
抱き合いながら聞いてるのか、離れて暮らしながら心の中で聞いてるのか。
喧嘩の後なのか、幸せな瞬間なのか――全部あり得る。
左脳で書いた手紙は全部ウソっぽい
どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる
この「左脳に書いた手紙」って表現が印象的です。
左脳=理屈で組み立てた「愛の言葉」では本当の気持ちが伝わらないってことなんですね。
僕は恥ずかしながら、昔好きな人に「論理的に愛情を証明しよう」とした手紙を書いたことがあって...
「君のここが好きで、だからこういう理由で付き合うべきで」みたいな。
(当然ボツになりました笑)
でも本当の気持ちって、理屈じゃ説明できないですよね。
本当に響く手紙は右脳=「感情」で書くべきだと気づかされました。
「半信半疑」という賢い愛し方
半信半疑 傷つかない為の予防線を
今 微妙なニュアンスで 君は示そうとしてる
個人的にすごく響いたのがこの部分。
全力で愛して、全力で裏切られたら立ち直れない。
だから、ちょっとだけ疑っておく。
ちょっとだけ距離を置いておく。
これって卑怯なことじゃなくて、愛し続けるための知恵なんですよね。
「面倒くさい」が愛の証拠
面倒臭いって思うくらいに 真面目に向き合っていた
「面倒くさい」って、普通はネガティブな言葉。
でも恋愛において「面倒くさい」と思うのは、実は最高レベルの愛情表現なんです。
どうでもいい人のことを「面倒くさい」とは思わないですよね。
相手の機嫌を気にして、LINEの返事のタイミングを考えて、喧嘩した後の仲直りの方法を必死に考えて──。
これ、全部「面倒くさい」こと。
でも、この面倒くささこそが愛の証拠。
記憶に残るのは、特別な日じゃない
カレンダーに記入したいくつもの記念日より
小刻みに 鮮明に 僕の記憶を埋め尽くす
誕生日や記念日より、何気ない日常の方が鮮明に残ってるってやつですね。
記念日の特別なディナーより、風邪で寝込んでる時に作ってもらったおかゆの方が覚えてたり。
そんな特別じゃない瞬間の方が心に残るんでしょう。
「しるし」とは何か
泣いたり笑ったり 不安定な想いだけど それが君と僕のしるし
完璧で安定した関係が「しるし」なんじゃない。
喧嘩して、仲直りして、また喧嘩して──そんな不安定な日々の積み重ねこそが、ふたりの証なんですね。
これって、革命的な愛の定義だと思いませんか?
普通、恋愛は「安定」を求めるものだと思われがち。
でも桜井さんは「不安定こそが愛の証」だと歌っています。
「どうせ」という覚悟の言葉
共に生きれない日が来たって どうせ愛してしまうと思うんだ
この曲の到達点です。
普通「どうせ」は諦めの言葉だけど、ここでは覚悟の言葉として使われている。
理屈で「もう愛さない」って決めても、頭で「忘れよう」って思っても、心は勝手に愛してしまう。
愛することが理性や意志を超えた自然現象であることを表現していますね。
別れても、時が経っても、「雨が降るのと同じように」愛してしまう──そんな愛の避けられなさ。
まとめ
「しるし」の最大の魅力は、愛の面倒くささを肯定してくれることです。
不器用で、複雑で、時には理不尽で──そんな愛の全てを「それでいいんだ」と言ってくれます。
この曲を聴くたびに、「ああ、僕の愛し方も間違いじゃなかったんだ」と思えるのではないでしょうか。